歯科医院の認知度を高めるために広告を打つことは、重要な手段のひとつです。
しかし、歯科医院の広告は表示できることが限定されているため、基本を知っておく必要があります。
そこで、この記事では歯医者の広告規制や、有効な広告手段について詳しくご紹介しましょう。
歯医者の広告規制①2018年の医療法の改正ポイント
2018年に医療法が改正され、広告規制の対象が変更されました。
これまでホームページは広告とは考えられておらず、広告規制の対象にはならなかったが、ホームページは広告とみなされるようになったのです。
そのため、ホームページも医療広告規制の対象になり、掲載する内容に注意が必要となりました。
2018年版の「医療広告ガイドライン」を守らなければなりません。結果として、ホームページに載せてはいけない内容が大幅に増えています。
歯医者の広告規制②医療広告ガイドライン
虚偽広告に注意
ホームページ等に掲載していた内容が、意図せずに「虚偽広告」となってしまう場合があります。
虚偽広告とみなされた場合は、懲役6ヶ月以下または罰金30万円以下、という厳しい罰則があります。罰則が重く、とくに注意が必要です。
たとえば、以下のような表現は虚偽広告にあたります。
- 絶対安全
- 1日で全ての治療が終わります
- 必ず治ります
- 再発のない治療法
- 画像を修正加工
虚偽広告をするつもりがなくても、文章表現にを考えるうちに、無意識に使ってしまっている場合もあります。
虚偽にあたる内容をホームページに載せている場合は、今すぐ削除してください。
虚偽広告以外に注意すべきこと
虚偽広告以外に注意すべきなのは、主に以下の3点です。
⽐較優良広告:ほかの医療機関より優良である旨の広告
誇⼤広告:実際より誇張されている広告、客観的事実を証明できない広告
体験談:患者などの主観による治療内容・効果をうたった広告
その他、品位を損ねる広告は罰則対象となります。
医療広告ガイドラインは改正される度に、使用できなくなる表現が登場するので、注意が必要です。
2018年医療広告ガイドライン改正で歯医者が注意すべきこと
2018年の医療広告ガイドライン改正で、とくに注目すべきポイントを選んだので、広告表現を考える際の参考にしてください。
①医師略歴内にある専門医や学会の表記
専門医や指導医の資格の記載に関して、規制が入るようになりました。
厚生労働省が認めた学会の専門医等の表示のみは可能で、それ以外はNGとなったのです。また、研修についてはすべて記載NGです。
ただし、厚生労働省にに届け出をしていない学会や研修の参加も、限定解除があります。
ホームページに電話番号、E メールアドレス等の問合せ先が記載されていれば、厚生労働省に届け出していない学会でも専門医表記等の記載が許可されているのです。
②自由診療の価格を明示する
自由診療については、基本的には価格を記載しなければなりません。
ホームページで自由診療について言及したページには、価格を表示するようにしましょう。価格だけ別ページにまとめて、他のページに記載しないのはNGです。
各ページに価格を分かりやすく記載するようにしてください。
③ビフォーアフター画像の記載の是非
治療のビフォーアフター画像は、原則として使用を禁止されていました。
しかしながら「詳細な説明文(具体的な治療内容、副作用、リスクなど)がある」という条件付きで掲載が認められることになっています。
④正式に認められていない標榜科目は掲載しない
正式に認められていない標榜科目「インプラント科」「審美歯科」などを謳うことはできません。
総合診療科のように、そのほうが患者さんに正しく伝わるだろうというもの以外については、自粛してください。
⑤患者の体験談の紹介をしていないか
治療が終了した患者さんの体験談や感想を紹介するのも禁止されています。
なぜなら、個々の患者の状態等により感想は異なるものであり、誤認を与えるおそれがあるからです。
患者の体験談の記述内容が、広告が可能な範囲であっても、掲載はできません。
ちなみに医療機関外のウェブサイトなどで、医療機関が便宜を図っていないサイトでの体験談を掲載するのは問題ないとされています。
⑥著名人が治療を受けている旨を表示しない
有名人や芸能人が治療を受けていますという表示もしてはいけません。
「この病院は他の病院と違って、著名人に選ばれている」というメッセージを持ってしまうので、比較優良広告に当てはまります。
このような自らの病院等が他の医療機関よりも優良であるかのように感じさせる表現は、医療に関する広告としては認められていないのです。
⑦雑誌や新聞で紹介された表示をしない
「雑誌や新聞で取り上げられました」ということを記載するのも禁止です。
自らの病院等が他の医療機関よりも優良である旨を広告することを意味するものであり、医療に関する広告としては認められません。
⑧SNSやブログなども広告対象になる
オフィシャルサイトではなく、SNSやブログも対象になるので、発信する内容にも注意してください。
近況報告のつもりで、体験談などを不用意に投稿しないように気を付けましょう。
歯医者が医療広告に掲載できることとは?
これまで掲載してはいけないことばかりお伝えしてきましたが、逆にどんな内容であれば医療広告にも掲載できるのでしょうか。
掲載できる内容についても、詳しくご紹介します。
①歯科医師である旨
もちろん歯科医師の資格を保有しているという事実は、掲載しても問題ありません。
②診療科名
医療法で許されているのは「歯科」「小児歯科」「矯正歯科」「歯科口腔外科」の4つのみです。例えば「インプラント科」や「審美歯科」は掲載できません。
③医院の名称
略称や英語名も掲載できます。
④電話番号・住所
電話番号と住所の他、地図や最寄駅からの道順も掲載できます。
⑤医院の開設者の氏名
歯科医院の開設管理者の氏名を掲載できます。
⑥診療日・診療時間
診療日や休診日、診療時間を掲載できます。
⑦予約診療の有無と予約の方法
予約の受付時間や、予約用の電話番号、ホームページのURL、E-Mailアドレスを掲載できます。
⑧設備
入院設備や手術室の有無、医療機器(CT等)の配置状況に加え、バリアフリーであることなども掲載できます。
⑨人員
従業員の人数や役職、氏名、性別、年齢、資格も掲載できます。
ただし、資格については「歯科衛生士」「歯科技工士」等の厚生労働大臣もしくは都道府県知事の免許を受けている医療従事者に限られています。
⑩専門医の認定を受けている事実
医療法で許されているのは「口腔外科専門医」「歯周病専門医」「歯科麻酔専門医」「小児歯科専門医」「歯科放射線専門医」のみです。
その他の専門医や認定医は掲載することはできません。
⑪紹介できる病院、診療所の名称
紹介できる病院や診療所の名称を掲載できます。
⑫情報提供に関すること
カルテ等の記録の情報提供に関する取り組みを掲載できます。
⑬ホームページのURL
歯科医院の公式サイトのURLは掲載して問題ありません
このような記載内容に注意したウェブサイトをつくるには、サイト制作を依頼する際に医院のウェブサイト制作に慣れた業者に依頼するのが一番です。
医療広告規制に見識のあるウェブ製作会社を選びましょう。
歯医者が行う効果的な広告手段4選
歯科医院が行う広告手段として、とくに有効だと考えられるものを4つご紹介します。
ネット広告
地域のターゲットに限定して広告を打てるネット広告は、とても有効な手段です。
ネット広告を打つ場合、まずは以下のような施策を検討してみましょう。
- 「地域名 歯科」などの検索キーワードを狙ってリスティング広告を打つ
- Googleマイビジネスに登録する
- Googleマップで表示されるようにする
そうすることで、近隣の住民で歯科医院を探している方々へ効果的にPRができるようになります。
それ以外に、「地域名 歯科」などでSEO対策をした記事の投稿を続けるのも有効です。
自社でブログをやっている場合は、上位表示を狙う検索キーワードを考え、その検索キーワードを検索する人に向けて課題を解決する記事を執筆するのが有効です。
医者の権威を使い、正しい情報を求めている人へ届けてください。
チラシ(ポスティングなど)
チラシは新聞折込やポスティングという方法をとることになるでしょう。
ちなみに、チラシは即集客という目的にはあまり向きません。なぜなら、歯科に行くときは口内の悩みがあるときに限られるからです。
チラシは「存在の認知」という目的で割り切り、近くに良さそうな歯科医院があるということだけを知ってもらえるようにつくりましょう。
長くポスティングを繰り返すことで、口内に悩みができたときに「あ、〇〇〇歯科」と思い浮かぶまで刷り込みができることを目指すのです。
新聞・雑誌・フリーペーパーへの広告
地域の新聞や地域情報誌など、開業した地域に根付いた媒体に広告を出せば、その県や市内で認知を広げることができます。
新聞や雑誌の取材を受けるのも良い方法です。口腔内の相談に乗れることをプレスリリースでアピールするとよいでしょう。
もしかすると口内の健康に関しての企画の時に、取材のお声がかかったりすることがあるかもしれません。
看板を立てる
開業した地域にお住いの人が日常で利用する道路沿いに、大きな立て看板を立てるのも有効な方法です。
毎日通勤をするうちに、ジワジワと認知を広げることができるのです。
駅や人通りの多い場所や目立つ場所、多くの人が生活に利用する道路に立てましょう。看板と現地の建物が一致すれば、「あの看板の歯科医院はあそこか」と多くの地域住民にインプットされるようになります。
開業時には100万円程度の広告費が必要
開業時には、ホームページや内覧会の費用が必須となります。
広告・宣伝活動の結果の良し悪しによって、開業後の患者さんの来院数が大きく変わってくるのです。
インターネットが普及した現代では、ほぼ100%の患者さんが来院前に歯科医院のホームページを見ています。
ウェブサイトの効果は侮れないので、しっかりと作り込むようにしてください。
まとめ:歯医者の広告は表現に注意しつつ、しっかり活用
歯科医院の広告は、謳えないことも多く、難しさを感じる方も多いかもしれません。
しかし、そのような限られた宣伝手段しかないからこそ、ひとつひとつの広告手法でしっかりと抜けがないように行うことが大切なのです。
小さな努力の積み重ねが、集患に必ず結びつきます。
「技術を磨けば、自ずと患者さんは来る」という時代は終わり、「いくら技術を磨いても、その技術を知らなければ患者さんは来ない」という時代に変わりました。
広告にしっかり取り組み、地域の歯の健康に貢献し続けられる歯医者さんになりましょう。