支台歯形成のマージン形態はどうする?種類を徹底解説

歯科治療において、支台歯形成はとても重要な手技のひとつです。

支台歯形成を行うにあたり、マージン形態をどう決定すれば良くて、どう形成すると良いのでしょうか。

この記事では、支台歯形成のマージン形態について、ポイントを解説していきます。

支台歯形成におけるマージンとは

歯質と修復物・補綴物の境界をマージンと呼びます。

技工士さんが補綴物を作製する際、マージンが明瞭に分からなければとても作製しづらく、適合の良い補綴物を作ることができません。

そのため、マージンがはっきりと分かる支台歯形成を行うことが大切なのです。

修復物や補綴物の種類により、求められるマージン形態や歯質切削量は異なります。作製したい補綴物のマージン形態や歯質切削量を、支台歯に反映させなければなりません。

そういった点で、支台歯形成は難しいといえます。

またマージンの種類や位置は、補綴物の適合や予後に関わる重要な要素です。

補綴物の設計をする歯科医師がしっかりと計画を立てて、支台歯形成を行いましょう。

支台歯形成におけるマージンの種類

マージンの種類は、作製する補綴物の種類によって異なります。

  • 全部被覆金属冠 全周ナイフエッジまたはシャンファー
  • 陶材焼付鋳造冠・レジン前装冠 唇側はショルダー、ベベルドショルダー、ヘビーシャンファー 舌側はシャンファー
  • ジャケットクラウン 全周ショルダーまたはヘビーシャンファー
  • オールセラミッククラウン・CAD/CAM冠 全周ヘビーシャンファー

切削量の少ない順に

ナイフエッジ<シャンファー<ヘビーシャンファー<ショルダー<ベベルドショルダー

となります。

支台歯形成に慣れないうちは、一般的に歯質切削量が不足しがちです。

例えば陶材焼付鋳造冠の支台歯形成において、唇側のマージンをナイフエッジのようにしてしまうと、きれいな補綴物を作製することができません。

グルーブなどを用いて、十分な歯質切削量を分かりやすくすることも大切です。

全部被覆金属冠

金属冠では金属自体にある程度の強度があるため、ナイフエッジやシャンファー形態で作製可能です。

ナイフエッジは歯質切削量が少ないため、歯髄への負担を小さくできます。

シャンファーは、金属冠では良く用いられるマージン形態です。大学の実習でも基本はシャンファー形態を練習すると思います。

まずはシャンファー形態をきれいに形成できることを目指しましょう。

陶材焼付鋳造冠・レジン前装冠

陶材やレジンを焼き付けるために、唇側ではヘビーシャンファー以上の切削量が必要となります。

唇側に十分な切削量がなければ、陶材やレジンの十分な厚みを確保できず金属色が透過してしまったりします。

また、陶材やレジンの層が薄くなって破折しやすくなったり、逆に適度な厚みをもたせると唇側に出っぱった補綴物となってしまうといった問題が生じます。

舌側は金属で被覆するため、シャンファー形態で問題ありません。

ジャケットクラウン

陶材やレジンは金属に比べると強度が低いため、クラウンの厚みをもたせるためにマージン形態はショルダーやヘビーシャンファーといった切削量が大きい形態となります。

オールセラミッククラウン・CAD/CAM冠

オールセラミッククラウンやCAD/CAM冠も金属と比べると強度が低い材質であり、マージンの切削量を大きくする必要があります。

支台歯形成で重要なマージンと歯肉縁の位置関係

補綴物の作製にあたり、マージンと歯肉縁との関係性から歯肉縁上マージン、歯肉縁下マージンに大別できます。

歯肉縁上マージン

メリット

  • 目視でマージンを確認できるので、支台歯形成時に歯肉を傷つけにくく補綴物の適合もわかりやすい
  • セメントの残留が起こりにくい
  • 印象時に歯肉圧排を行う必要がなく、印象採得を行いやすい

デメリット

  • マージン部が露出するので、審美性に劣る
  • 歯冠長が短い場合、補綴物の維持力が弱くなる

歯肉縁下マージン

メリット

  • マージン位置が歯肉縁下となるため、審美性は高い
  • 前歯部の唇側では歯肉縁下マージンを選択する
  • 歯冠長が短い場合にも対応できる

デメリット

  • 補綴物の適合は目視で確認できない
  • 支台歯形成時に歯肉を傷つけやすい
  • セメントの残留が起こりやすい
  • 印象には歯肉圧排が必要で、手技は難しくなる

歯肉縁上・縁下ともにメリットとデメリットがあるため、症例に応じた選択をしなければなりません。歯肉縁のラインに合わせることもあります。

マージンはスムーズに一周するように、最終研磨しましょう。臼歯部の遠心面、遠心隅角などはマージンにステップができやすいです。

特に念入りにミラーで確認してください。

印象採得後、模型を作製して形成した支台歯を観察し、うまく形成ができたかどうか自分でチェックすると良いでしょう。

セラミックやCAD/CAM冠、ジルコニアなどのクラウンではマージン形態とクリアランスを含め歯質切削量に規定があるため、しっかりとその規定に合うような支台歯形成が求められます。

補綴物の適合が支台歯と補綴物の予後に関わるため、適合の良い補綴物を作製できるように過不足なく支台歯形成を行うようにしてください。

まとめ:支台歯形成でマージンの種類や位置は重要

支台歯形成において、マージンの種類と位置の決定は重要です。

まずは患者さんと相談して、どの材質の補綴物を作製するかを決めましょう。それによって支台歯形成に必要な歯質切削量は変わってくるからです。

その後、支台歯形成を行いマージンや隅角などに注意して研磨まで行います。クリアランス量の確保もしっかり確認しましょう。

慣れないうちは、支台歯形成をすること自体に没頭してしまい、歯軸がずれてしまったり、クリアランスが不足していたりというミスをしがちです。

あらかた形成した段階で、いろいろな角度から支台歯を見て、大きなミスをしないように確認しながら進めるよう気をつけましょう。

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