歯科治療におけるクリアランスの重要性とは?クリアランスゲージの使い方や支台歯形成の注意点

被せ物の治療を行う際には、クリアランスを意識して治療をする必要があります。

この記事では歯科治療におけるクリアランスの重要性について、具体的にクリアランスが治療に与える影響を挙げながら解説していきます。

クリアランスとは

クリアランスとは、「清掃・整理・除去・ゆとり・隙間」の意味を持ち、歯科医療では形成された支台歯の外面からクラウン外側までのスペースを指します。人工歯を入れる場合の上下的なスペースのことです。

主にクラウンやブリッジなどの人工歯を装着する歯冠治療において使用されます。被せ物の治療を行う際は、このクリアランスの確保が非常に重要になります。

クリアランスの量が被せ物に与える影響

クリアランスが十分に取れているかどうかは、後に装着する被せ物の寿命に影響します。

クリアランスが十分に取れている

クリアランスが十分に取れ、被せ物の高さが確保できていると、維持力が上がり取れにくくなります。

支台歯を形成する時には、原則、歯冠長の高さを4mm以上確保するようにしましょう。

クリアランスが少ない

クリアランスが少ないと被せ物の高さが確保できないため、維持力が下がり取れやすくなります。被せ物が頻繁に取れてしまうようでは、被せ物としての役割を果たせないのです。

何度も作り直すような事態になれば、その歯の寿命を縮めることにもなりかねません。

適切なクリアランスを確保するために

適切なクリアランスを確保するためには、正確にクリアランスを計測することが重要です。

「クリアランスゲージ」という専用の器具を使用し、クリアランスを計測します。

クリアランスゲージの使用が重要

人間の視覚では、長さや厚みは比較的判断しやすいですが、「隙間」の判断は錯覚を起こしやすく難しいものです。

目視での判断は個人差があるうえ、錯覚の恐れがあります。

良い被せ物を作成するためには、クリアランスゲージを使用して隙間を正確に計測しましょう。

クリアランスゲージの使い方

クリアランスゲージは、先端が球状になった器具です。球部分を隙間に差し込んで使用します。

球部分にはいくつかのサイズがあり、球が抵抗なく通過できるかどうかで、クリアランスが確保できたかを確認できます。

球状なのでどの向きで測っても同サイズになり、操作性も良くて便利です。

クリアランスが十分に確保できない場合の対策

クリアランスが十分に確保できない場合には、他の方法を使って、被せ物の維持力を上げる

必要があります。

保持孔をつくる

支台を形成する際に、保持孔という僅かな溝を作ることで、取れにくい構造にすることが可能です。

ただし近年、保険適用の部位ができるなどの関係で治療症例の増えているCAD/CAM冠では、システムで加工できなくなるため保持孔を付与することができません。

フィニッシュラインを深めに設定する

フィニッシュラインとは、支台歯の形成ラインと非形成部分の境界線です。被せ物のマージンが接合する部分です。

十分なクリアランスを確保するために歯冠長を長くとりたい場合、フィニッシュラインを歯肉縁下に少し深めに設定すれば、歯冠長が長くなります。

ただし、後の歯周病への影響などを考慮し、歯肉の状態を十分に精査した上で行う必要があります。

失活歯のみ

保持孔を付与するなど、支台の形成過程でプローチする方法は、神経の無い歯=失活歯に限定されることが多いので注意しましょう。

まだ歯の神経が残っている生活歯の場合は、歯髄の保護が最優先になります。なるべく刺激を与えないように、支台の形成を進めなければなりません。

支台歯形成の注意点とは?6つの基本原則

最後に、支台歯形成で注意するべき点を、6つの基本原則に沿ってまとめます。

正確なマージンフィニッシュ

被せ物をする場合には、人工物と支台との適合が重要となります。マージンラインを一線で仕上げ、スムースにすることがポイントです。

修復物の維持力・保持力を考慮

先に挙げた保持孔などにより、修復物の維持力・保持力を増大させる事ができます。

十分なクリアランスを確保すると同時に、保持孔などの抵抗形態の付与も考慮しましょう。

修復物の耐久性を考慮

耐久性には、クリアランスの確保が非常に重要です。クリアランスゲージを使い、正確に隙間を計測するようにしましょう。

歯質をできるだけ保持

支台を形成する際には、切削は必要最低限にしましょう。これは、歯そのものを長く使用するために大切なことです。削った歯は元には戻りません。

最も望ましいのは、自分の歯をできるだけ長く使うことです。

歯周組織に影響を与えない配慮

フィニッシュラインを決定する際には、クリアランスも意識した上で、歯周組織への影響も考慮することが大切です。

生活歯の歯髄への影響に配慮

神経が残っている生活歯の場合には、歯髄への影響を最小限に抑える必要があります。できるだけ刺激を与えずに支台を形成しましょう。

まとめ:歯科のクリアランスは歯冠治療において重要!

クリアランスはクラウンやブリッジなどの人工歯を装着する歯冠治療において使用されるものです。

被せ物の治療を行う際は、このクリアランスの確保が非常に重要になります。

この記事を参考に適切なクリアランスを確保し、被せ物の治療を成功させてくださいね。

歯科医の先生と歯科医院様へ
期間限定・無料プレゼントのお知らせ

こんにちは、「歯科医のミカタ」を運営しているスリービー・ラボラトリーズの島田勝家です。最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。

私たちの歯科技工所【スリービー・ラボラトリーズ】は、時代のニーズと技術革新を先取りしながら、患者様に喜んでいただけるモノ作りをモットーに、多くの歯科医院さまと共に成長してまいりました。

本メディア「歯科医のミカタ」も少しでも先生と医院様に貢献したいという想いで運営しております。そんな私たちの想いを記事にしていただきましたのでぜひご覧ください。

  • ・35年の実績
  • ・口腔内スキャナー対応
  • ・最短4営業日で発送可能
  • ・全国の医院様にお取り扱いいただいています

また、現在、お問い合わせいただいた医院様に、『自費治療率の高い医院様に教えてもらった「上手な医院運営の7つの秘訣」』もプレゼントしています。

「上手な医院運営の7つの秘訣」

さらに今なら!
小冊子を請求いただいた医院様につきましては、「全補綴物3本まで60%オフ」にてお試しいただくことができます。まずは、小冊子をご覧ください。

詳細はこちらからどうぞ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です