歯科の印象採得とは?アルジネートを使った手順や口腔内スキャナーを使った方法を解説

印象採得は歯科医や歯科衛生士にとって、基本的な技術です。

この記事では印象採得とはどのようなもので、どのような手順で行うものなのかを解説します。

また、近年注目されている口腔内スキャナーを使った印象採得の方法についてもご紹介していきましょう。

印象採得とは

印象採得とは歯の一部分を修復するためであったり、あるいは歯を失った箇所に人工の歯を作る目的で歯型を取ることです

これは歯科技工士の業務ではなく、歯科医師や歯科衛生士が行わければなりません。歯科助手が行うと違法になってしまいます。

歯科技工士は印象採得された印象に石膏を流し、患者さんの歯型の模型ができたところから仕事がスタートします。

印象材を練ったものを専用のトレーにのせ、口の中に挿入して圧接して印象採得するのです。

基本的な印象採得の手順とは?

印象採得とはどのような手順で行うのでしょうか。基本的な手順を確認していきましょう。

①口腔内の観察

まずは口腔内を触診しながら、診査診断を行っていきます。義歯床縁などのイメージをして、大きな潰瘍や真っ赤なフラビーガムがないか確認していきましょう。

潰瘍やフラビーガムがあるにも関わらず、印象採得をして先に進んでしまうと、その模型とその後の口腔内に大きな違いが出てきてしまいます。

潰瘍やフラビーガムがあった場合は、事前に旧義歯調整やティッシュコンディショニングといった補綴前処置を行わなければなりません。

②使用するトレーを選ぶ

上顎であれば上顎結節を覆うサイズ、下顎であればレトロモラーパッドを覆うサイズを選ぶびましょう。

全体を覆うためにちょっと大きめを選ぶというのはあまりよくありません。柔軟性のある軟組織を相手にする義歯の印象で得られる印象体は、トレーの外形に影響をかなり受けます。

必要な部分が覆えているのであればそれで十分なので、むしろすこし小さめな、完成する義歯の大きさに近いトレーを選択するほうが良いでしょう

そうした方が確実に情報量の多いよい印象が採れるようになります。

③口腔内にトレーを試適する

トレーは印象時の加圧や撤去時の陰圧によって変形しないような、剛性のあるヒューマントレーを使用しましょう。

上あごと下あごにそれぞれ試適して、サイズを確認するようにしてください。

④印象を練る

印象材をかた練りした後、トレーに山盛りにします。その後で水をかけて、印象材表面を慣らしてから、口腔内に挿入していってください。

⑤印象をとる

いよいよ印象を採ります。上あごと下あごと、それぞれ印象の採り方を説明していきましょう。

上あごの場合

トレーは唇を避けながら、斜めから入れて回転させていきます。トレーを奥から手前にかぶせ、トレーの後ろを口蓋に合わせましょう。この時、アルジネートをのどへ流さないように注意し、アルジネートの余りを前方に持ってきてください。

前歯部にアルジネートが流れてくるのを確認しながら、手前にかぶせ、前歯にかぶせるようにググっと圧接しましょう。

最後にトレーを奥に入れて、前歯部に圧をかけるのがコツです。

下あごの場合

下あごは印象がとれにくい場所があることを、しっかり認識しておくのが大事です。以下の場所はとくに印象が採れにくいので注意しましょう。

  1. 前歯部の口腔前庭
  2. 臼歯部の遠心の下側
  3. 臼歯部の歯肉頬移行部

下あごに入れるときもトレーは唇を避け、斜めから入れて中で回転させましょう。

トレーは前歯から当てて、奥歯へ被せていきます。

口腔前庭にアルジネートが溢れるのを確認しながらかぶせ、口腔前庭がアルジネートで満たされたら、患者さんに舌を上げてもらってください。

舌を上げることによってできた舌と歯列の間のスペースにトレーの下側後縁を、スッと滑り込ませるように入れましょう。

トレーが臼歯部に被さったら、患者さんに舌を前方に出し、トレーの上に乗せてもらいます。

その後、患者さんに軽く口を閉じてもらいましょう。そうすると、舌下と頬が緩んで、印象材が臼歯部の舌側と頬側に行き渡ります。

緩んだ頬を指で外に広げながら、印象材が頬側の歯肉頬移行部に行き渡るようにしてください。

最後に印象材を撤去する時は、完全硬化を待ってから撤去するようにしましょう。

⑥印象の確認

印象がとれたら、義歯制作に必要な解剖学的指標がとれているかどうかをよく確認しましょう。主な確認内容は以下の3点です。

  1. 両方とも左右対称の形状が取れているか
  2. パットのところが取れているか
  3. 舌小帯のところが取れているか

変形を防ぐためにも、印象材を撤去した後はすみやかに石膏を注入しましょう。

口腔内スキャナーを使用した印象採得が注目を集める

口腔内スキャナーを用いた印象採得の際に光を用いることから、これを従来からの方法と区別し「光学印象採得」といいます。

口腔内スキャナーは使った印象採得は、医師にとっても患者にとっても楽で効率的です。

ペンより少々大きい口腔内スキャナーを使って、口腔内の型取りが必要な箇所に挿入し、スキャニングするだけです。

口の中に異物を入れるストレスが大幅に軽減されるため、患者さん側は従来の方法に比べてかなり楽になります。

ソフトウェアでデジタル化されたデータをモニタ上で確認できるため、口腔内の確認や様々な分析が行える点も大きなメリットです。

口腔内スキャナーを使用した印象採得のデメリット

口腔内スキャナーを使用した印象採得は魅力的ですが、デメリットも存在します。具体的には以下のようなものです。

①測定精度が低下することがある

口腔内において、スキャニングする範囲の広さよっては、測定精度が低下することがあります。

口腔内スキャナーは一度に全角度にスキャニングすることはできず、得られた口腔内のスキャンデータをつなぎ合わせてデータをつくっていくきます。

そのため、スキャンする範囲が広すぎると、つなぎ合わせの回数がどんどん多くなるので、誤差も蓄積してしまうのです。

②保険適用外の方法である

現在のところ、光学印象採得は保険適用外なので、患者さんの負担が大きくなってしまうデメリットがあります。

③歯茎の際より下の部分は難しい

歯ぐきの際よりも下の部分は歯茎に隠れやすいので、口腔内スキャナーでうまくスキャンできないため、向きません。

視覚的に明示されないことも多いので、光を用いた印象採得は難しいでしょう。

印象採得は歯科の治療に必要な基本技術

印象採得は歯科のさまざまな治療に必要な基本技術です。

手順とそれぞれの手順の目的を理解し、何度も反復練習してマスターしてくだいね。

患者さんがどこにストレスを感じるのかをしっかり理解して、思いやりをもって施術に取り組んでみましょう。

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