スリービー・ラボラトリーズでのタイザンを用いた技工物の紹介

こんにちは。スリービー・ラボラトリーズです。

当社でご依頼の多いタイザンを用いた技工物をについて、症例とともにご紹介いたします。

タイザンとはどんな材料?

タイザンは陶材築盛型のジルコニアの一つです。シュッツ社の加工機を使って加工していたのが名前の由来です。

ジルコニアは曲げ強度が強く、耐久性、耐摩耗性、耐酸性も優秀です。ジルコニアの曲げ強度は1200Mpaほどで、ポーセレンの15倍、e-maxの3倍に相当します。

またジルコニアは金属イオンが安定化しており、イオンが溶出しないので金属アレルギーの心配がありません。ブラックマージンの心配もありません。熱伝導率が低いため、天然歯における知覚過敏が起きにくいという特徴があるのです。

当社では、基本築盛対応のタイザンNと多重築盛タイプのタイザンSを使用しております。どちらも審美性は高く、強度もあるのでフルアーチの症例に対応可能です。

タイザンNとは

CAD/CAM で削り出されたジルコニアフレームの上に、陶材を基本築盛した補綴物です。ジルコニアブロックには透過性があるので、ブラックマージンの心配はありません。

シェードガイド通りの色調を再現することができます。1200MPa の曲げ強さを誇るジルコニアで製作したフレームは破折に強く、フルマウスにも対応できます(連続するポンティックは2歯までとなります)。

支台歯の形成量は、唇側面1.0mm〜、舌側面0.5mm〜必要です。製作日数は中4日〜となります。

タイザンSとは

タイザンクラウンNでは表現しきれない色調にも対応できるのが、タイザンSです。ジルコニアフレームの上に、デジタル画像を分析した多様なデータを基に陶材を多重築盛する、審美性に特化した補綴物です。

歯質形成量を多めにとることで陶材を築盛するスペースを確保し、ジルコニアの強度を保ちながら審美性を向上させています。

支台歯の形成量は、唇側面1.5mm〜、舌側面1.0mm〜必要です。製作日数は中6日〜となります。

当社で作製したタイザン症例

当社で作製しましたタイザンを用いた症例をご紹介いたします。

症例Ⅰ:タイザンSを用いた①┴1②ブリッジ症例

テンポラリーブリッジ装着時の写真です。└1の歯肉再生術を行いました。

粘膜の回復を待つ間、テンポラリーブリッジからプロビジョナルレジストレーションへ置き換え、シェードテイキングを行いました。

タイザンSを装着したところです。審美性が高く、患者様にも満足して頂けました。

隣在歯と調和しているのが分かります。

タイザンSブリッジを支台歯に装着する前の状態です。

タイザンSブリッジ装着前の支台歯と粘膜面の状態です。

ブリッジの矢状面観です。

症例Ⅱ: タイザンSを用いた2┴2症例

タイザンSで、2┴2のシェードテイキングをしているところです。

タイザンSを装着したところです。

タイザンSを装着したところを、やや上方から見たところです。

症例Ⅲ:タイザンNにて321┴12の連冠症例

321┴12の支台歯の状態です。

タイザンNで作製した連冠を装着したところです。

タイザンNで作製した連冠の作業模型上で製作した状態です。

タイザンSとタイザンNについて、ご紹介させていただきました。2つの違いについては、費用や納期と求められる審美性の高さなどから総合的に歯科医院様でご判断頂ければと思います。

タイザンの特徴

タイザンをはじめとした陶材築盛型ジルコニアの特徴をご紹介します。

陶材築盛型ジルコニアの特徴

CAD/CAMで削りだしたジルコニアフレームに専用の陶材を築盛した補綴物です。

ジルコニアフレームにVITAシェード全色の着色ができるので、陶材の築盛スペースが少なくても製作ができます。

そのため従来1.5㎜以上必要だった歯質形成量が、たった0.7㎜(咬合面は1.5㎜)でよくなり、生活歯に対してもオールセラミックスを使用することができるようになりました。

ジルコニアは非常に割れづらい特性を持っており、支台歯の削合を最小限度に抑え、有髄歯のまま歯の治療を進められます。

その利点は患者様にとっても、歯科医師の皆様にとっても大きいでしょう。

たとえ1mmでも歯の表面を削り足すと知覚過敏や痛みが強く出てしまい、結果として抜髄が必要になるという残念な結果になりかねません。

当社の築盛型ジルコニアは、そんなリスクを大幅に軽減できる薄さを実現できます。治療する歯に被せるジルコニア自体が、薄いうえに割れづらいので咬む力の強い所に使用しても問題ありません。

オールジルコニアとの比較

陶材築盛型ジルコニアとオールジルコニアとでは、どのような違いがあるのでしょうか。

当社では、オールジルコニアとしてパールエナメルやパール、パールマルチレイヤーという材料を使用しております。

パールエナメルは、透過性の高いジルコニアブロックを用いており、審美性が高い材料です。ジルコニア補綴物の中では780MPa と強度が低めですが、それでも e.max の 2 倍近い強度を有します。透過性が高いため、オールジルコニア補綴物の中で最も自然なインレーを作製できます。ただし、ジルコニアの厚みが大きい場合には透過性は大きく損なわれます。3本まで連結可能です。

パールはジルコニアのみで製作した高強度の補綴物です。当社が取り扱うジルコニア補綴物の中でも最も曲げ強度が高いので(1200MPa)、破折の心配がほとんどありません。咬合圧の強い大臼歯部に適しています。ただし、透過性が弱く、また色調が安定しないため審美性が求められる前歯部には不向きです。また、ジルコニアの厚みが大きい場合には透過性は大きく損なわれます。フルアーチにも対応できます。

パールマルチレイヤーはジルコニアのみで製作したグラデーションタイプの補綴物です。歯頚部から咬頭にかけて透過率が高くなっています。色調は5段階のグラデーションが付与されているので、オールジルコニアとしては自然な質感を再現できます。強度 (780~1100MPa)と審美性を兼ね備えている補綴物です。なお、グラデーションは、あらかじめ付与されているので調整はできません。また、ジルコニアの厚みが大きいと透過性は大きく損なわれます。4本まで連結可能です。

パールマルチレイヤークラウン(左)とパールクラウン(右)の比較です。

7┘にパールクラウン装着したところです。

7┘にパールマルチレイヤークラウンを装着したところです。

陶材築盛型ジルコニアとオールジルコニアの選択

オールジルコニアは近年、材料が進化し審美性も兼ね備えたものの開発が行われています。しかし審美性が求められる部位では、やはり陶材築盛型ジルコニアの方が患者様にも満足していただけることが多いのが現状です。費用や歯質切削量も異なりますので、患者様のニーズに合わせた選択をしていただくことが大切です。

タイザンの技工ならスリービー・ラボラトリーズへ

ジルコニア素材を用いた技工のご依頼なら、技工実績の多いスリービー・ラボラトリーズへお問い合わせください。経験豊富な歯科技工士が対応させていただき、歯科医院様にも患者様にも納得して頂ける補綴物を作製させていただきます。

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