こんにちは。スリービー・ラボラトリーズです。
YAMAKIN株式会社が2020年11月に発売した前歯部用のハイブリッドレジンブロック「KZR-CAD HR ブロック4 イーバ」(以下、HR4 イーバ)についてご紹介いたします。
「HR4 イーバ」は、従来品よりも透明性を高めるなどの設計変更を行ったことで、より前歯の美しさを表現できるようになりました。
今回はYAMAKIN株式会社の溝渕真吾さんに、「HR4 イーバ」の特徴や魅力をうかがいましたので、詳しくお伝えします。
溝渕 真吾
YAMAKIN株式会社 有機材料開発課 上級主任研究員。
2012年に愛媛大学大学院理工学研究科卒業後、YAMAKIN株式会社入社。
HR4 イーバの特徴①前歯部用としての美しさ
「HR4 イーバ」のもっとも大きな特徴は「美しさ」です。前歯部用として、より自然な色調を再現するため、透明性を高めています。
三層の界面が馴染んだ、なめらかで美しいグラデーションを切削加工のみで再現できます。
さらに、これまでの「KZR-CAD HR ブロックシリーズ」の色調コンセプトを踏襲しており、小臼歯用ハイブリッドレジンブロックである「KZR-CAD HR ブロック2 BG」(以下、HR2 BG)と並んだ場合、違和感のない自然な色調を表現できます。
スペック
無機質フィラー含有率(wt%) | 72 |
3点曲げ強さ(MPa)※1,2 | 200 |
ビッカース硬さ(HV0.2) ※1,3 | 80 |
吸水量(µg/mm3) ※1,2 | 25 |
溶解量(µg/mm3) ※1,2 | 0.4 |
フッ素徐放性 | 有 |
X線造影性 | 有 |
蛍光性 | 有 |
※1 JDMAS 245:2020準拠
※2 37℃水中に7日間浸漬後
※3 37℃水中に1日間浸漬後
色調ラインアップ
「HR4 イーバ」は十分な実績をもつ、保険適用の小臼歯用ハイブリッドレジンブロック「HR2 BG」と同等の物性です。「HR2 BG」のグラデーション色と比較すると、各層の透明性を近づけ、前歯部として使用しやすいように色調設計されています。
しかし、製法についてはこれまでと同様に、色調の異なるペーストを同時に注入して成層しブロック状に硬化する成形技術(SIL法※)を使用。この技術では、硬化前に成層することで各層の界面がわずかに混ざり合うため、自然な色調の移行が可能です。
※SIL法:Simultaneous Injection Layering (同時注入法)
HR4 イーバの特徴②前歯に適したブロックサイズ
「HR4 イーバ」はLサイズに加え、解剖学的歯冠サイズの統計データをもとに、前歯をカバーできる新しいサイズとして「LSサイズ」をラインアップしました。
これにより、切削工程でやむをえず発生する「加工ロス」を少なくすることができます。
サイズラインアップ
サイズ | a | b | c |
LS | 14.5 | 14.5 | 15 |
L | 14.5 | 14.5 | 18 |
単位(mm)
「前歯部でも違和感のない色に」ヤマキンの想い
ヤマキンが初めてグラデーションブロックを発売したのは2017年1月。前歯(自由診療)にも使用可能な審美性の高い3層構造の製品を3年以上にわたって販売してきました。
すでに、積層構造のハイブリッドレジンブロックを作る技術は持っていたため、課題は「いかにして前歯部でも違和感のない色に設計するか」ということ。
ヒトの目に触れる機会の多い前歯部は、小臼歯や大臼歯とは異なる前歯部用の色調設計が求められます。そのため、「HR4 イーバ」では、各層の透明性を重点的に検証し、開発を進めました。
その結果「HR4 イーバ」は、これまでの技術と経験をもとに、より前歯としての美しさを表現できるよう透明性を高めるなどの設計変更を行ったのです。前歯部がCAD/CAM冠の適用範囲となったこのタイミングで発売することになりました。
今回お話をうかがったヤマキンの溝渕真吾さんも「弊社の研究開発の結晶となる製品ですので、まずは一度手に取っていただき、その色調を確認いただけますと幸いです。」と語るほど、自信の製品です。
CAD/CAM冠治療に初めて取り組む歯科医院におすすめ
「HR4 イーバ」は、これまでCAD/CAM冠治療を行っていなかった歯科医院様におすすめの製品です。
積層構造の「HR4 イーバ」では、切端から歯頚部への色調のスムーズな移行を実現しており、単色では表現できない自然な色調が再現できるため、満足していただけると思います。
すでに小臼歯や大臼歯のCAD/CAM冠治療を行っている歯科医院様はもちろんですが、これからCAD/CAM冠治療に取り組む歯科医院様にも、ぜひこれを機会に検討してみてください。